本当の味わいを知っていますか?明石焼
兵庫県明石市は、美味しい明石焼で名高い地域ですが、全国にはなかなか本格的な明石焼を提供するお店は限られています。お土産として冷凍の明石焼もありますが、本場の味と比べると物足りなさを感じることも。
そんな遠方の方にも本格的な明石焼を楽しんでいただきたいと思い、こちらのレシピをご紹介します。
究極の美味しさを追求した、本格的な明石焼きを自宅で作れるレシピで、ご家庭で美味しい明石焼をお楽しみください。
- ご自宅で本格的な明石焼きをつくって見たい方
- 本格的な明石焼を食べたことの無い方
明石焼きの材料
ここでは9個焼の銅鍋にて5回分(45個)を焼く場合を例に説明いたします。
- 蛸(タコ) 適量
- 小麦粉 60g
- じん粉 140g
- 卵 8個
- だし汁 1200cc
昆布 12g - 付け汁 500cc
昆布 7g
鰹節 30g - サラダ油 80cc
- ごま油 小さじ2杯
- 三つ葉 適量
蛸(タコ)
明石焼きのタコは、国産それも瀬戸内物の明石タコが味も歯ごたえもしっかりしていてお奨めです。
明石産のタコが手に入れば最高ですね。明石のタコとして一般的に有名なのは、蛸の分類ではマダコです。
タイプとしましては、地付きと呼ばれるものが大半で、主に夏頃に1kg程度まで成長します。
もう一つのタイプが、渡りと呼ばれるタイプで、産卵場所は紀伊水道周辺で、秋から冬頃に1Kg程に成長して明石周辺に現れますが、まれに2~3Kgのものもいて大物は肉質が堅いものになります。
明石のタコがおいしい理由は、明石海峡には海老や蟹、とくに大好物のフタホシイシガニが繁殖している事。
そして明石海峡は潮流が非常に早く、天敵に身を隠しながら、俊敏に活動を行うため、筋肉質な体を作り出し、かめばかむほど味の出る、日本でも有数のブランドだことして名をはせる明石のタコが育つわけです。
ちなみに明石のタコ漁は一般的には蛸壺漁になりますが、蛸エギを使って釣るのも明石では非常に楽しい釣りの楽しみ方です。
明石の江井ヶ島漁業協同組合では「明石蛸壺オーナー」を募集している様ですので、こちらに申し込んで明石のタコで明石焼をつくるのも楽しそうですね!明石タコ検定なんてものも有るようですので興味のある人は是非チャレンジしてみて下さい。
小麦粉
明石焼きに最適な小麦粉は何か?小麦粉と言っても色々な種類の小麦粉が市販されています。その中でも究極の明石焼きを作るのにもっとも適した小麦粉を探して紹介したいと思っています。
そもそもどの小麦粉を使うのが一番おいしいのだろうか?
確かホリエモンのブログで、「スーパーで売っている小麦粉と、プロの使う小麦粉はかなり内容が違い、プロ用の方が格段によい物らしい」という記事を読んだことがあります。
どの小麦粉で作る明石焼きが一番おいしいのか、ぜひ試してみたいと思い色々と調査をしてみました。
すると小麦粉自体にどうやら幾つか種類のある事が判明しました。
種類としては、たんぱく質”たんぱく質(グルテン)の多い順に
- 強力粉
- 準強力粉
- 中力粉
- 薄力粉
に分類される様です。この中で明石焼きにもっとも向いている小麦粉は、やはりグルテンが一番少なくふんわりとした仕上がりになる薄力粉です。
グルテンとは、小麦粉に含まれる80種類以上あるタンパク質の中の、グルテニンとグリアジンが水と一緒になって、小麦粉特有のグルテンというタンパク質を作り出します。
グルテンには、弾力性と粘着性があり、この性質によりパン等は一度膨らんだ後に冷えても縮まないで形を保てるのです。
うどんのコシを作るのもこのグルテンの役わりとなっています。
よってたこ焼のようにある程度の固さが必要な場合は、グルテンがある程度効果を発揮しますが、逆に明石焼きのようにふわふわとした柔らかさが必要な場合は、グルテンの少ない方が向いています。
究極の明石焼きを作るのにあたって最高の薄力粉を探すため、ネットで小麦粉(とくに薄力粉)の品質の良さそうな物を探してみた。
まず一番良く出てくるのが大手では日清製粉の、スーパーバイオレットなるものが、メジャーの様です。
次に良さそうなのが増田製粉の特宝笠という商品も良さそうです。
主に長崎カステラ等に使われるようですがふんわり、しっとり感があってよいのでは無いでしょうか、増田製粉には特宝笠のワンランク上の宝笠ゴールドという商品もあるようですね。
他には日東富士製粉の最高級品はゴールデンアルプス等があります。
私のお奨めは日清製粉の、スーパーバイオレットです!
じん粉
次にじん粉・・・・・・・・じん粉?
なんですか それ? って感じですが、調べてみると「浮き粉」や「小麦澱粉」等とも呼ばれているそうです。
小麦粉には蛋白質(グルテン)が含まれるため、熱をかけると、 固くなったり、ごちごちしたりするのです。
しかし「じん粉」は、小麦のでんぷん質 のみで出来ているため、 軟らかく、ふんわり仕上がります。
そうか!明石焼きのふわふわ感の秘密は「じん粉」にあったんですね!
浮き粉(うきこ)は、小麦粉の生地から、グルテンを分離した 残りの澱粉分の事なのです。
グルテンを分離するには、こねた生地を 水につけて洗い流すそうですが、この水に浸かっている状態では沈粉(じんこ)という様です。
じん粉にもやはりよい品とそれなりの品があるようですね。高級な物は本浮き粉と呼ばれ、和菓子の製造などに使われるそうです。
じん粉(浮き粉)には、小麦粉から作った上質のでんぷんの本浮粉と、代用品としてさつまいもから作ったものが主にただの浮粉と呼ばれるものです。
先日、明石焼きの有名店で教えて頂いたのですが、明石焼きはどの店でもじん粉を薄力粉に混ぜて使っていると思っていたら、なんとその店はじん粉を一切使わず薄力粉だけで作っているという情報を頂きました。
有名店でじん粉を使ってないなんてびっくりですね!
店の主人がいうには、作ってすぐの状態で明石焼きを食べる場合はじん粉を混ぜた方がふわふわでとてもおいしい。
しかし出前を行う店では、じん粉が入った明石焼きだと、出前が到着するまでの時間に明石焼きがぺしゃんこになりかえっておいしくなくなるそうです。
そういう訳で、出前を行っている店は、もしかしたらじん粉の入っていない明石焼きの可能性が有るかも知れません。
卵
明石焼きに使う卵はどんな卵がよいのでしょうか?
やはり最高の明石焼きを作るには最高の卵を使って見たい!
そこで卵について調べてみました。高級な卵と言えば思い出すのが、テレビでたまに紹介される黄身のつかめる卵。
野生卵の「輝」はなんと桐の箱に入って20個入りで な・・・・なんと1万5千円もするそうです。
ちなみに明石焼きの有名店で使われている卵は当然、こんな高級品は使ってませんので一般的な卵でも十分おいしい明石焼きはできますのでご安心を。
だし汁
明石焼きに最適なだし汁ですが、基本的に関西ですので小魚と昆布等からつくるあっさりだしが基本です。
昨今は粉末だしや、液体だしでもとてもおいしい物が沢山販売されていますので、このような商品を選んで頂いても結構ですし、自分で一からだし汁を作るのもこだわりとしてはよいかもしれませんね。
明石の有名店では利尻昆布を使ってる店が多い様に見うけられました。
薬味
明石焼きの薬味は店によって多少の違いがありますが
- 三つ葉
- 小ねぎ
- とろろ昆布
等が入っている店が多い様です。
明石焼きの下準備
だし汁の作り方(前日から準備)
出汁は1番だしの合わせだしがオススメです。
カツオを使わないお店も多いようですが美味しさにこだわるなら合わせ出汁の方が美味しいように思います。
昆布はやはり利尻産昆布がオススメですね。
昆布から水だしで作る際は昆布の表面の汚れをかるく拭き取り、必要な量の水に昆布をひたし一晩ねかします。
準備
だし汁は規定の量と、付け汁に使う料と合わせた量を事前に用意します。
水1700ccと昆布17gを用意します。
固く絞ったぬれ布巾で昆布の表面を軽くふきます。
表面についている白い粉はうまみ成分を含んでいます。
ごしごしと水洗いすると、表面のうま味まで洗い流してしまいます。
密閉できる容器に、水と昆布を入れ、10時間程度浸けます。
麦茶などの容器で容器毎冷蔵庫に入れてしまうのが便利です。
市販のだし汁を使う際には説明書通りに作っただし汁を同じく冷蔵庫に入れてしっかりと冷やしておきます。
一晩冷蔵庫で冷やした水につけた昆布を鍋に入れて温めます。
沸騰直前に必ず昆布を取り出してください。
沸騰させるとエグミやヌメリが出てしまうためです。
鍋の中が沸騰している状態なら少量の水を差し水として鍋に入れて沸騰を抑えます。
沸騰がおさまれば鰹節30gを一気に入れます。
鍋を一煮立ちさせると火をすぐに止めアクを丁寧に取り除きます。
ざるにキッチンペーパーを引いて鍋のだしを濾します。
ざるに残ったカツを節を箸などで押して絞り出してはいけません。
エグ味が加わってしまいます。
完成しただしは冷ました後でまた冷蔵庫で冷やしておきます。
冷やしておくことでグルテンを抑えふっくらとした仕上がりになります。
つけ汁の作り方
明石焼きをつけて食べるつけ汁の準備・レシピ
明石焼きのつけ汁の下拵えは、
だし汁に鰹節を入れて
- 塩
- 薄口醤油 大さじ1.5はい
- 酒
- みりん
- 白醤油
を加え、暖めたものをお好みでお湯を調整して薄めたものを用意してください。
タコの調理法
タコの下拵えは生の蛸の場合、腸を取った後、十分に滑りを取るために塩もみを行います。
塩もみは大変な作業で10から20分十分に塩もみをした後、水で流したときほとんど滑りが無ければOKです。
滑りが取れたたこに茹でた時に見栄えがよいように両目の間と足の間に包丁で切り目を入れます。
大きな鍋にたっぷりとお湯を沸かし、沸騰したら一旦お湯が白く濁る程の多めの塩を入れます。
鍋の中に足を下にしてゆっくり鍋に蛸を入れる事で足がきれいに丸まります。
7分ほど弱火で茹でたらたこを取りだしたら冷水で十分に冷やします。
茹で上がったたこは包丁で1.5cm角程度にぶつ切りにします。切るサイズはお好みで調整してください。
生地の作り方
明石焼きの生地の下準備について説明します。
生地の下準備にあたり薄力粉と浮き粉は事前にふるいにかけて混ぜ合わせた状態を、冷蔵庫でキンキンに冷やしておきます。
冷蔵庫から出したキンキンに冷えた薄力粉と浮き粉を混ぜたボールの中に、卵とこれまたキンキンに冷蔵庫で冷やしただし汁を少しずつ注ぎながら混ぜ合わせます。
粉とだし汁を混ぜた瞬間からグルテンは発生しますので出来るだけ焼く直前に混ぜ合わせる様にしましょう。
ちなみに高級天麩羅を出す店では生地を混ぜて10分たった生地は使わない店もあるぐらいだそうです。
混ぜ合わせた生地に卵を入れ軽くかき混ぜます。
混ぜすぎるとグルテンも発生しますし、卵もなめらかになりすぎてしまいます。
以上で明石焼きの生地はできあがりです。
明石焼きの焼き方
明石焼きの焼き方ですが、せっかくの銅鍋を使うわけですから、銅の熱伝導性の高さを十分に活かしてふわふわの明石焼きを作るためにも、火の加減はとても需要になります。
まずガスレンジの上に直接、銅鍋を置くと安定しませんので、もち焼きようの網をガスレンジの上に置き、その上に銅鍋を設置します。
これで銅鍋は安定した状態で設置できます。
次に銅鍋にサラダ油を塗ります。
この時、サラダ油にゴマ油を混ぜて塗ると香ばしい香りになります。(お好みで)
油を塗る際の注意として、くぼみの部分だけでなく銅鍋の表面全体に塗るように注意して下さい。
くぼみの部分に油がたまりすぎた場合は、一度銅鍋を傾けて余分な油を油の容器に戻します。
この時はまだ、火はつけないで下さい。
油が引けたら、次に、明石焼きの生地をくぼみから若干あふれるくらいまで流し込み、そしてぶつ切りにした蛸を入れます。
ここでようやくガスレンジに火をつけます。強めの中火で温度を上げてゆきます。
十分に温度が上がったのを確認したら中部に戻します。
半面が固まりだしたらひっくり返すのですが、ここでたこ焼の様な先のとがったものでひっくり返すので無く、菜箸や割り箸などの先がある程度太く、やわらかいものでひっくり返すようにしてください。
明石焼きは、たこ焼と違い、非常にふっくらとしていますので、とがったものでひっくり返そうとするとぐちゃぐちゃになってしまいます。
ひっくり返す際にくぼみ以外の表面にあふれた生地の部分をうまく中にまとめ込むようにしてひっくり返してください。
全部がひっくり返ると火を中火から若干弱火にするぐらいの方がきれいに焼けます。
ひっくり返した半面も焼けてくぼみの中で明石焼がくるくると回るようになったら完成です。
皿に移す際には箸でつまむと崩れてしまいますので銅鍋より大きな板か皿を銅鍋にふたをするようにのせ、そのまま上から手で押さえた状態のまま、銅鍋毎ひっくり返して移すのが一般的な方法です。
これで完成です!